窯のフタを開けても、見えるのはがらんとした空間と真っ白な巣板だけになってしまいました。恐る恐るカメラを中に差し入れて、奥の方を下から撮影して液晶画面を確認したら、ごくわずかの蜂たちが凍りついたように身を寄せ合っていました。きっと夜は温度が保てずに仮死状態になって、日が昇って気温が上昇してきた時に、再起動のスイッチが入るかどうか、、、そんな毎日を過ごしているのでしょうか。撮った写真をパソコンに取り込んで、より詳しくはっちゃんたちの無事を確認しようと目を凝らしていたら、ハチたちとは違う部分に私の目が釘付けになりました。いちばん奥の壁際にある巣板の表面を絹の薄いベールのようなものが覆っています。霜柱が降りたようにも見えます。六角形の穴を真っ白な何かが塞いでいます。丁寧にフタがされている。。。
スムシだと思いました。姿は見えないのに、なぜかそれは見た瞬間スムシだと確信できたんです。背筋が凍るとはこの事かと思いました。ムシャムシャ巣をかじる音がずっと止まずに足元で響き続けるその上で、寒さに震えるのはさぞ無念で悔しく、心細いことでしょう。退治してやりたいけど巣を撤去する訳にもいかず、自分の無力さに腹が立ちました。これは、、、この後どうなって行くのか、、、ゆっくり沈みかけた船にしがみついて、なんとか生き延びようと頑張ってるのに、船室内から火災が発生してしまったような、そして水面には無数のサメが待ち構えているような絶望・・・