初めて我が家でミツバチと出会ったのは今から7年前の2011年です。春ごろから、どうしたことか2階の部屋の中にミツバチが居るようになりました。朝、外が明るくなると窓ガラスに寄ってきて、窓を開けてやるとサーッと外に飛んでいきました。どこから来るのだろうと不思議に思っていましたが、日増しにその数は増えていきました。ある夜、ベッドに横になり、ふと、天井を見たところ、天井板の継ぎ目からミツバチが入ってくることに気がつきました。屋根裏に巣を造っていたのです。夜、部屋の灯りをつけると、その光で部屋に入ってことが判りました。継ぎ目を布で塞いでみましたが、木造でミツバチが通れる隙間はいくらでもあります。恐る恐る天井裏を覗いてみると、無数の蜂がこちらをめがけて飛んでくるではありませんか。人生で最大の恐怖がやってきたと思いました。防備を頑丈にして再び覗いたところ、奥の方に白い巨大な得体の知れないものが見えました。50㎝位ある巣で、それもベッドの真上にあったのです。これは、とても近づくことはできない。なすすべなく途方に暮れました。毎日、部屋には100匹以上のミツバチが入ってきて、朝起きると布団の中からも出てくる状態でした。
夏のある日、上で音がしたので天井裏を見てみると巣が落ちていました。蜂はいなくなり、やれやれ元の暮らしに戻れたと思っていたところ、3年後にまた蜂が戻ってきました。天井裏には同じ場所に同じように巨大な巣ができていました。
今度は落ちる前になんとかしようと思い、ネットでいろいろ調べてみましたが、ミツバチは一つの巣で1万匹いるので対処は非常に難しいこと、駆除業者では蜂を生かしたままの撤去はやらないこと、保護団体もあるが遠方で依頼が困難であることがわかりました。あきらめかけていたところ茨城県でまちおこしとして発足して間もない「かしまミツバチプロジェクト」の代表をしている方と連絡がとれたので、メールで指導を受けながらミツバチを捕獲し鹿嶋市まで1時間程の距離なので移動させることにしました。掃除機を改良した装置で蜂を生きたまま吸い取る方法にチャレンジです。代表の話では、まだ実際に試したことはないとのことでした。装置を完成させいざ決行、屋根裏の狭い空間で思ったより時間がかかり、装置が途中でオーバーヒートしてしまいました。それでも4分の1ほどの蜂が捕獲できたので鹿嶋へ運びました。残念ながら女王蜂が捕獲できてなかったようで、鹿嶋で営巣はしなかったそうですが、ともかく蜂を殺すことなく巣を撤去することができました。翌年の4月に巣箱を庭の桜の木の脇にセットしたところニホンミツバチが入り、現在も1群元気に巣造りをしています。
家内が花を中心に庭造りをしていることもあり、一昨年、地域情報誌がガーデニング紹介の募集をしていたので応募し、庭とニホンミツバチの記事を載せてもらいました。おかげで、たくさんのニホンミツバチの情報が寄せられました。貴重だと言われているニホンミツバチですが、どこにでもいることがわかりました。また、建物など生活空間に巣を造られ、仕方なく殺虫剤で駆除してしまった例が多いことに驚きました。今は、自分の体験から、ミツバチは駆除する必要のないことをいろいろな機会に呼びかけています。建築業、造園業その外いろいろな業種の方、官公庁にもお願いして、ミツバチの場合は連絡してもらい、巣を撤去しなければならない場合にはミツバチ仲間と保護に出向いています。そのままであれば殺虫剤で駆除でしかないケースを何件か保護しています。ミツバチと一緒に暮らした経験があるからこそできる自分の使命だと思っています。また、無農薬農家の方に分蜂群を引き取ってもらいお互いに勉強したり、空き家の庭の草刈り花植えなど環境面でもできることは楽しみとして行っています。
賽銭箱からの保護作業
自宅の庭は芝が広く雑草処理がたいへんですが、一度芝用除草剤を使用したところミツバチが出て行ってしまったことがあるので、今は手で一本一本抜いています。
「ミツバチの棲む庭」を目指し、訪れた方が癒せるハーブ・ナチュラル系の庭づくりに励んでいます。
いつまでもミツバチと一緒に仲良く暮らせることが願いです。