Cecilia Rodriguez による (3月27日版)
Forbes JAPAN
欧州連合(EU)に輸入されるハチミツの半分にシュガーシロップが混入されている疑いがあることが明らかになった。欧州当局がこのほど調査結果を発表した。
欧州委員会の欧州不正対策局(OLAF)と合同調査センター(JRC)が主導した調査で、2021年11月から2022年2月にかけて無作為に抽出した輸入ハチミツの320のサンプルの46%が純粋なハチミツではなかった。
欧州以外の国から輸入されているハチミツのほぼ50%に米、小麦または甜菜から作られたシュガーシロップが混ざっているという。
◆偽ハチミツは主に中国とトルコから
欧州の規制では、ハチミツへの添加は禁止されている。検査したサンプルの46%に添加が確認され、欧州で消費されるかなりのハチミツが偽物と言ってもいいだろう。
「欧州のハチミツの輸入量は年間17万5000トンで、米国に次いで世界で2番目に多い」と仏紙ルモンドは報じている。
偽のハチミツの多くは中国(74%が偽物だった)とトルコ(15個中14個が偽物だった)からのものだ。英国経由で入ったハチミツ10個はすべてメキシコ、ウクライナ、ブラジルからの輸入品で「不適合」と評価された。
調査結果によると「EU以外の国から輸入され、JRCによって純正でないと判断されたハチミツの多くはEU市場に存在し、検出されていない」という。
今回の調査結果は、低価格の輸入ハチミツとの競合にさらされている消費者団体や欧州の養蜂家の疑念を裏づけている。
◆欧州は偽のハチミツを検出する「ふるい」
偽のハチミツの多さから、消費者団体フードウォッチは欧州市場を「本当のふるい」と表現している。
「欧州へハチミツを輸出する123の業者のうち、70業者が製品にハチミツ以外のものを混入した疑いがあり、検査した欧州の95の輸入業者の3分の2は少なくとも1つの疑わしい商品を扱っていた」とルクセンブルク紙レサンシエルは書いている。
OLAFによると、現在までに「EU内の44の事業者に調査が入り、7事業者が罰せられた」という。フランスで抽出された21のサンプルのうち「本物のハチミツ」だったのは4つだけで、欧州の輸入品の3分の1が集中するドイツでは、分析した32サンプルのうち半分が純正でなかったという。
◆他の添加物や着色料も
調査結果はまた、シュガーシロップ以外の添加物や着色料、トレーサビリティ情報の改ざんなどについて警告している。OLAFによると「ハチミツにはもともと糖分が含まれており、EUの法律では純粋でなければならない。水や量を増やすための安価なシュガーシロップが入っていてはならない」という。
OLAFのビッレ・イタラ局長は「原産地を偽って表示する例も見受けられた」などと述べ「不正な行為や慣行は消費者を欺くものであり、不当な競争で誠実な生産者が不利になる」と指摘した。
◆複数年にわたる不正行為
フードウォッチは、これほど多くの純正でないハチミツが消費者の手に渡ったという事実は当局の検査体制の弱さを示していると主張している。
同団体のイングリッド・クラグルは「欧州の消費者は何年もの間、スーパーで偽のハチミツを知らずに買っていた」「国の検査機関だけでなく民間の検査機関も調査手段が不十分であるため、不正を発見することができなかった」と指摘した。
◆欧州と米国が主要バイヤー
世界で生産されるハチミツの主な買い手は欧州と米国だ。
EUの養蜂家は約61万2000人で、1800万個の巣箱がある。蜜蝋、花粉、ロイヤルゼリー、プロポリスに加え、年間約28万トンのハチミツを生産している。
EUの専門家は不純なハチミツが人体に危険を及ぼすとは考えていないが、安価なものはミツバチからの黄金の贈り物の純度を定める規則に従っている農家にとって不公平な競争を生み出している。
(forbes.com 原文)
◆◆御参考になれば幸いです。