蜜蜂を襲うオオスズメバチ、キイロスズメバチ以外にツマアカスズメバチが新たに出現。幸い現在の所、当地域では確認されていないが遅かれ早かれ対応に迫られる。困ったものだ…。皆様、御注意下さい。
以下、新聞掲載情報による。2022/09/10 17:39
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
特定外来生物のツマアカスズメバチが、福岡県内で定着の動きを見せている。長崎県の離島・対馬で2013年に定着が確認されて以来、目撃情報は九州各地で数件あった程度だが、今年は福岡市などですでに3例に。ミツバチを襲って養蜂に被害を出したり、市街地に巣をつくって人を刺したりする恐れがあり、環境省が実態調査に乗り出す。(植田優美)
「これは何やろうか?」。15年ほど前から趣味でニホンミツバチの養蜂を行う福岡市東区の石谷統冶さん(81)が、庭で見慣れないハチに気づいたのは4月下旬。毎年見かけるキイロスズメバチやオオスズメバチよりも小柄で、飛行中のミツバチを猛スピードで狩っていく姿が異様に映った。
数日後、長男が仕留めた個体を見ると、全体的に黒っぽく腹部はオレンジ色だった。「対馬にいる外来のハチじゃないか」。スマートフォンで調べると特徴が一致した。その後、環境省がツマアカスズメバチの女王蜂と確認。翌5月には、石谷さん宅から5キロほど離れた久山町の養蜂場でも女王蜂が見つかった。
環境省によると、ツマアカスズメバチは、ミツバチを捕食するため養蜂業への影響が懸念されている。高所に直径1メートルにも達する巣をつくる習性があり、都市部のマンション高層部にすみ着く恐れもあるという。
国内では12年に長崎県対馬市で初めて確認された。韓国から侵入したとみられ、13年には50個以上の巣が見つかり、環境省は定着と判断。15~19年には九州・山口の計5市で巣や個体が発見されたが、駆除されて以降は目撃が途絶えていた。
しかし、今年になって発見が相次いだ。スズメバチの研究を続ける九州大の上野准教授(昆虫学)は、「女王蜂が続けて見つかるのは、昨年侵入した個体が福岡で営巣に成功した可能性が高い」と指摘する。
上野准教授は、働き蜂が活発化する7月下旬~8月、福岡県久山町や周辺の山林などで生態調査を行った。においスプレーでおびき寄せ、のべ70匹以上の個体を発見。追尾した結果、2、3個の巣が久山町内の山林にある可能性を突き止めた。
「九州本土で定着の一歩手前にあると言える。福岡で定着すれば、九州、本州にも一気に広がる恐れがあり、巣が少ないうちに見つけ出して駆除しなければ、取り返しがつかなくなる」と危機感を示す。
秋には来年の繁殖に備えて新しい女王蜂が誕生する。環境省九州地方環境事務所は、予定を前倒しして現地調査を始める。担当者は「個体や巣を発見した場合は駆除を進め、次世代の女王蜂が増えないようにしたい」と話す。
■初確認から10年、対馬で続く防除
初確認から10年になる長崎県対馬市では今も、懸命の防除が続く。女王蜂が活動する春にはペットボトルを使った「駆除大作戦」を展開。多い年で2000個以上のペットボトルで推定1万匹以上が駆除された。
だが、年間に発見される巣は50~300個で根絶にはほど遠い。市内では軒先や、地上10メートル以上の樹木の枝先、鉄塔で巣が見つかり、高所作業車での大がかりな駆除作業が行われている。
養蜂が盛んな市内では、在来のニホンミツバチが襲われる被害も相次ぎ、頭上の巣に気づかず市民が複数の個体に同時に襲われて搬送されたケースもある。
市は通信会社と協力して、ドローンやAI(人工知能)を駆使し、上空から巣の位置を特定するシステムを開発中だ。探し出した巣に薬剤を噴霧する作戦を検討中で、市自然共生課の担当者は「安全かつ効率的に駆除を行い、生態系や市民の安全を守りたい」と話す。
◆ツマアカスズメバチ=中国南部や東南アジアが原産。体長2~3センチで、繁殖力が強い。在来のスズメバチに比べ、毒性が強いわけではないが、刺されるとアナフィラキシーショックを起こす場合もある。国は2015年、外来生物法に基づく特定外来生物に指定し、輸入や飼育を禁止した。
【形態:大きさや特徴】
・働き蜂の体長は平均20mm、雄蜂24mm、女王蜂30mm程度。
・全体的に黒っぽく、腹部の鮮やかなオレンジの斑紋が特徴。
【形態:大きさや特徴】
・働き蜂の体長は平均20mm、雄蜂24mm、女王蜂30mm程度。
・全体的に黒っぽく、腹部の鮮やかなオレンジの斑紋が特徴。
◆ご参考 キイロスズメバチ