庭の方からいつもと違ったブンブン音が気になり外に出てみると、ケープミツバチさんが地面でバタバタしていました。よく見ると、右側の羽(と体にも?)が傷ついてしまったようで、どうしても飛ぶことが出来ません。音と動きにつられて、うちの尻尾の長い子ども達が手を出そうとします。思うように飛べない中、息を引き取るまでおもちゃにされてしまうのはあまりにも忍びなく、そっと草を差し伸べたところ、すぐにつかまって一生懸命に登り始めました。
この蜂さんが最後に見る風景と香りが優しいものであるように、庭の反対側に咲く花にそっと近づけると、自分からお花に移ってくれました。蜂さんたちは、自然に生きる他の生き物達と同様に、私たちよりはるかに過酷で厳しい世界に生きています。他の生き物の餌になったり、土にいる微生物の栄養になったりすることで、命のバトンタッチをしながら生命の営みを支えています。事実、蜂さんはまだブンブンと必死になっているのにもかかわらず、死が迫るのを察知したアリさんが、前、横、そして後ろから状況確認のため蜂さんに触れていました。それぞれが、与えられた命をそれぞれの方法で懸命に次につなげようと果敢に生きる彼らに対して、「忍びない」として場所を動かすのは、ちっこい人間(私)のエゴと言うか、自己満足のための独善的な行動だなーと重々自覚はしていますが、あの蜂さんの最後が穏やかなものであることを祈ります。