今年の年末年始はコロナ渦のため実家には帰省せず、気になっていた実家のミツバチ達のお世話ができないので、ハチたちに思いを馳せて冬場の巣箱の熱環境についてシミュレーションしました。
巣箱は自分が使っている300×300×180、t=25 4段。
巣箱の内部空気を発熱させて、杉箱(k=0.12W/mK)の熱伝導、箱の内側・外側の気流と熱の定常状態を解きます。
定常状態とは、最初の温度からどのくらい時間がかかるか分かりませんが流れと温度ば安定した状態です。
実際の環境は常に外気温の変化があり定常状態にはならないためこの結果の通りになるとは限らないため注意が必要です。
外気温は5℃、周囲の風は完全な無風、上部2段のみがミツバチによる発熱を想定し平均温度が38℃になる場合の結果です。
暖められた空気が浮力によって上昇するため上のほうが温度が高くなっています。
内部の温度は上段が平均38℃になっていますが、側壁は最大で20℃、天井上面が23℃くらいでした。
すのこ無し、屋根なしなので実際はスノコと屋根の断熱でもう少し温度が高くなるかもしれません。
この時の外の空気の流れ分布です。
赤いところに速い上昇気流が発生していて無色のところはほとんど無風です。
箱の外壁で暖められた空気が上昇して箱の上で集まって上昇気流を形成しています。
箱内部の温度分布です。
計算結果では綺麗に下から上に向かって温度が上昇する温度成層が形成されていますが、この計算モデルは内部に存在するはずの”巣”が無い空っぽの状態で計算しています。更に、ハチによる空気の攪拌はこのモデルでは考慮されていません。
箱の外壁と内壁の気流の方向を確認します。
内部で暖められた空気は上昇したのち側壁を伝って冷却され下に流れています。
そして再び中心部の上昇気流に引っ張られる形で上昇に転じて循環しています。
逆に、外部は外壁によって暖められて箱のすぐそばで上昇気流が発生しています。
内部流れについて実際にはハチによる気流の攪拌が予想されるのでこのような分布にならないと思いますが、大まかな流れパターンとしては内部の側壁で下降気流が発生し、中心部は温度が高くなりやすく上昇気流にところは大外れしてる訳ではないと予想しています。
箱の下の方の気流はどうなっているかというと、今回は1段目と2段目のみを発熱させているため上側だけに上昇気流が発生していて下側はほぼ無風で上半分と下半分でくっきり分かれてしまって熱が混じらない結果となっています。
ハチによる攪拌があれば下のほうまで熱が周ってもっと均質な温度分布になると思います。
そのほうが実際近いのだろうなと考えています。
ちなみにこの時の発熱量は20wでした。
箱1つで暖房よりもはるかに少ない発熱量で快適な温度空間が作れるってことでしょうか。