巣枠には、その巣枠同士の間隔を一定に保つ機構が存在する。何て呼べば良いのかワカランが、最初に手に取ったミツバチの書籍(久志氏)から自距装置と覚えている。とりあえず自距装置と呼ぶ。
自距装置で作られる巣枠の間隔がどれぐらいが良いのかが重要なのだが、とりあえずの正答はセイヨウミツバチ自身が示す7.3mmであると仮定し、これに近い巣枠間隔が作れるものが良い事とする。
・自距離装置無し…論外
ある意味、最も理想的な巣枠間隔を作れる。だが、実際やってみると最初の一群でヒステリーが起きる。作業に時間がかかって仕方が無い。何せ一度に一枚の巣碑枠しか操作できない。専業化を志す人間には自距離装置無しは現実的ではない。
・三角ゴマ…論外 いやその、一応コレでもどうにかなるにはなるんだろうけどさ
三角ゴマは作業デザインに特化した形態だと言える。巣枠同士の接着面が狭く、巣枠の引きはがしも楽。ミツバチも潰しにくい(実際は後述のガバい巣枠間隔の為か、巣枠同士に余計なブリッジ?が大量にできるので、そうでもないのだが)。取付も釘2発打てば済むので楽ちんだ。
だが、この巣枠間隔は何なのだという話だ。12㎜と酷くガバガバでミツバチが示す正答には程遠い。もちろん、これでもミツバチは飼えるのだが、それにしたってなぜなのだといった感じである。生き物を飼うにはその生き物の正確な姿を知り再現しようとする姿勢は必要なのではないのか。この自距装置で飼って、ミツバチの生理生態にとって良い効果があるとも考えづらい。
しかし蜂群輸送時には、釘を打たなくても良いデザインの三角ゴマを使い巣枠間隔を広げる。これだと沢山空気が通るので、輸送中のミツバチ死亡がおきづらいのだ。
ここまで文句言っておいて何だが、今年になって巣枠間隔8mmとなる三角ゴマなんて商品が登場した。熊谷養蜂と俵養蜂場が取り扱っている。これなら高い作業性とミツバチの示す正答に近い巣枠間隔を両立できるだろう。何故最初からコレが無いのだ…orz
・何て言うかワカラン奴(誰か教えてください) …未知数だが、いくら何でも巣枠間隔狭すぎないか&そもそも入手性が悪すぎる
レストアした巣碑枠にこんなのがある。補強金具に出っ張りがある。
…手元に1個体しかないので、後述8mmの巣枠間隔になる器具と隣り合わせて比べてみるのだが…いくら何でも狭すぎない?また、国産巣枠のラ式にしか付いていない等、入手性が酷く悪い。バラで欲しいかっていうと微妙…実際どうなんだろうか。
・ホフマン式…悪くないんだけど、色々と問題が多い。とにかく作業性が良くない!
巣枠間隔が12mmになってしまう、なんて事は無いので基本的にホフマン式の巣枠で飼育していた。だが、もうウンザリである。
ご覧の通り、自距装置が異様に上下方向に長い。これが、実に様々な弊害をもたらす。単純にミツバチを挟んで潰しやすい。潰したくないので枠を戻すのにモタモタしてしまい、内検作業に時間がかかってしまう。また、どんどん自距装置の間にプロポリスがたまってゆき、巣枠間隔が広がってしまう。従って時々掃除してやらねばならないのだが…一日に何十群も内検するのに、その一枚一枚の巣枠を掃除するなどとてもではないがやっていられない。夏場はまだよい。これが冬になると、プロポリスが冷えてガチガチに固まりこの上下に長い自距離装置間でがっちりと固着し、巣枠を引きはがすのに渾身の力でハイブツールでこじ開ける必要がある。こんな作業やっとれーん!!
第一、これじゃぁ輸送中に空気通りづらいだろうがムキーッ。欠点と利点は表裏一体であり、寒冷地では保温性に優れるデザインにも思える。…猶更奄美大島では意味無いが。
・改良型自距装置(ホ式転換用部品)…良いかどうかはワカランが今年はコレでやる。
俵養蜂場が、そんな悩める可哀想養蜂家にぴったりの商品を出している。
こんな商品。
釘で打って留める。巣枠の補強にもなるだろう。結構取付作業が面倒くさいし、釘も選ぶ必要がるように思える(普通の釘だと頭が出て出べそになる、こびょうorケーシング、という釘だと出べそがほとんど出ず綺麗に仕上がる)。
巣枠間隔は8mmの設計。この8㎜ってのも100点ではないし、製品に個体差ははあると思うが、まぁ及第点だろうか。何より、ホフマン式の嫌な欠点がほぼ無くなっている…と思う。コレなら蜂は潰しづらいし、掃除も楽だし、輸送中の空気の通りもずっと良い。
現場にインストールした感じは悪く無い。操作性には雲泥の差がある。このまま上手く機能してくれたら嬉しいのだが、最終的な評価は一年ぐらい使ってみないと解らないだろうと思う。