時間がないのでインスタに書いたやつの転載ですみません。乳酸の効果を測定しました。

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  乳酸によるミツバチヘギイタダニ駆除効果の測定をした。駆除期間は10/4から4日ごとに5回（都合で5日間隔になった日もある）。施用方法はか式巣枠（ラ式標準の半分サイズ）1枚に対して15％乳酸を4mℓスプレー噴霧。
  処理前の寄生率は9/21の定期検査時点でK1群が3%、K2群が2%なので、駆除開始時点ではおそらくそれぞれ4.5%と3%くらいだったはず。どちらも、ラ式換算で4、5枚群。成虫8000～10000匹弱。
  本日、腹側撮影法で観察した結果、K1群は2%、K2群は0.4%までダニが減った。乳酸の効果は、数値を出す以前に底板を見れば死んだダニが大量に見つかるため、確実にあったといえる。
  腹側撮影法の弱点は、2%くらいの寄生率の場合、母数を100匹としても測定誤差が大きいこと。なので、写真からダニ率を割り出すのではなく、透明ケースに蜂を入れた後、目で凝視して現場でダニ数を数えたのちに、あとでパソコンで母数の方を数える方法にしている。
  K1群は治療後もまだダニ率が2%ほどあるが、この群は勢いがあって蜂児も多いので、ダニの再生産数が多かったのだと思う。治療開始時点で寄生率が5%を超えていた可能性も疑われる。
  一方のK2群は、9月下旬から明らかに蜂の調子が下がっていて、徘徊蜂とちぢれ羽個体が多く発生していたので、おそらく寄生由来のウイルス感受性が高い群なのだと思う。感受性が高いゆえに、ダニに寄生された個体が容易に巣箱の外にはい出て死ぬため、見かけの寄生率は低くなったのだと推測している。
  二ホンミツバチなんかは、ヘギイタダニに寄生されると、アポトーシス的に蛹のまま羽化せずに死ぬらしいので、その点では調子が悪かったK2群の方がいわば消極的ヘギイタダニ耐性のような性質が強いともいえる。
  逆にK1群はぱっと見はとても元気で、蜂児圏の乱れもなかったものの、治療前の寄生率はこちらの方が圧倒的に高かった。この群は、寄生率10%くらいまでは調子がいいように見えて、そこからいきなり崩壊する可能性があるはずだ。でも人間が寄生率をモニタリングして治療して介入するなら、こちらの群れの方が圧倒的に飼いやすいと思う。
  ちなみに、乳酸15%溶液のミツバチへの影響は意外に少なく、乳酸溶液で濡らされてテンションが下がって3時間ほど採餌活動が停止するくらいの軽微なモノしかないように見えた。

  　
  検証結果を踏まえて考えると、乳酸治療は商業養蜂でも十分利用可能だと思われるが、乳酸のコストと労務コスト的に、ダニ率2%くらいの時点で治療を開始する必要がある。K1群のように4%台半ば時点から開始すると、追加でさらに2回噴霧する必要が出てくる。
  私の経験上、2%というのは、ラ式巣枠片面に1、2匹のダニを背負った蜂が見つかるくらいの段階なので、すべての巣枠にダニを背負った個体を1匹ずつ見つけられるようになったくらいの時点で臨時に寄生率をチェックして、必要であれば乳酸治療（4日ごと、5回）をするのが実務的に適当であると思われる。
  また、今回の治療コストは2群で約1500円となった。アピバールと同じくらいかな。少なくとも、埼玉ではすでに全く効かないアピスタンより費用対効果は高い。業務用の乳酸90%溶液を20ℓバルクで仕入れれば、2群で2～300円にまで低コスト化できる。処理労務的には、ラ式5枚群でひと箱5分かからないくらいだと思われる。内検のついでと考えれば実用範囲内かな。4日ごと5回っていうのが結構多くてだるいけど、効果のないアピスタンや耐性ダニの可能性があるアピバールを半信半疑で使うより、ダニが確実に減るから精神衛生上は良いと思う。