夏が始まった頃、田舎道を走っていたら立派な古い家の門の間から一瞬、その花が見えました。もしかして?!!と引き返し、玄関から声をかけさせて頂きました。「ごめんください、たまたま前を通りかかった者ですけど、門のところで咲いているのはリュウゼツランですか?」中から出てきた高齢の女性は答えました。「いかにも。竜舌蘭ですよ。^^父が若い頃に植えたものです。やっと咲きましたね」私は感動に震えながら写真を撮らせてもらい、この家の歴史について尋ねました。扉のない開放的な門柱と、その奥、真正面に見えるハイカラな小屋のデザインが気になったからです。明治時代から代々、村医者をしていたと言う。でも家族に病気がうつったりして、もう懲り懲りだとやめてしまったそうだ。昔は労咳や赤痢など、当時の医学ではどうしようもなかった病気も多かったのでしょう。でもそんな中で地域のために病院を開いて村人を助けていたのでしょう。門に立った時に感じた、ある種の威厳と安らぎ、体調が悪くてここを頼っていた当時の村人のこと、拠り所になっていたこの場所と、象徴的なリュウゼツランが妙に調和しているように見えました。ちょっと残念ながら、高い枝先にミツバチの訪花は見られませんでした。
一際高く伸びている。花は黄色でした。5月から前触れもなくグングン伸び始め、花が終わるとこの木は枯れてしまうそうです。テキーラの原料になる事でも有名ですよね。
4月にこの市に越して来たこと、自分の事などを話していたら、「持って帰りますか?」と言ってくださった。周囲には脇芽がたくさん出ていました。「では指くらいの芽をひとつ、、、」と喜びながら話したら、中にいた息子さんを呼んで、立派な株など4〜5本もくださいました。この株を我が庭に植えても咲くのは50年後。
ミツバチと出会って、このサイトで多くの先輩方から蜜源植物が大事と聞き、庭に色々な花や木を植え始めたら、植物が育って行くのを愛でることの素晴らしさを知りました。挿した小枝から新芽が出てきた時の喜び、この木が大木に育って、ミツバチがワンワン群れている様を想像する喜び!
でも、思いませんか?自分が死んだら、この庭はどうなるんだろ?って。栃の大木の下でお茶が飲みたいなぁって。私はこの場所をいつか、信頼できる若者に道具から何からそのままそっくり譲るつもりなのですが、その時私は彼に言うでしょう。「この植物はリュウゼツランと言ってな、葉の形が竜の舌みたいだろ?50年後に花が咲くから、それをしっかり見届けてくれ」と。