皆様こんばんは〜今回はあまりにも長〜い日誌になってしまいました。・・・・
昨日、ハニーエイトマンさんがオオスズメバチとカブトムシについて日誌を投稿されていました。
それを読んでコメントを書こうと思ったのですが、書くにあたって下調べをするうちに、あまりにも長くなりそうだったのと、改めて調べた内容が面白かったので、日誌を書くことにしました。
みなさんは「食物網」という言葉をご存知ですか?私は知りませんでした。食物連鎖に近い意味ですが、簡単に言うと、生き物たちが生きていくためにお互いを利用し合って網の目のように絡み合って、結果的に調和、バランスしている事を表す言葉のようです。
ここからはネットに書いてあった引用もしばしば登場します。植物は光合成によって二酸化炭素を取り込んで酸素を放出しますが、その工程で何が得られるかと言うと、「糖分」を作り出し、それが植物の幹や葉や花や種を作る材料になりますよね。この糖分を昆虫や動物や人間が喜んで食べるわけですね。美味しい果実や野菜や甘い花蜜はその最終的な作品であり、植物に言わせれば種を遠くに運んでもらう「餌」でもあります。果実の魅惑的な美味しさや花蜜の甘さによって、植物が繁栄するために猿や鳥や熊やミツバチに働かせるのです。
これらは実に理に適った効率的で平和的な仕事ですが、中には「盗む」者も出てきます。植物にとってそれは想定外のことです。甘い果実は好きなだけ持って行ってくださいですが、果実や葉や花粉を作り出すための原料の段階を途中から抜き取る奴が出て来ます。ここからハニーエイトマンさんの日誌に関係してくるのですが。
ボクトウガという蛾の幼虫がいます。クヌギやコナラ、クリ、アベマキなどに入り込んで幹に穴を開けます。何のために穴を開けるかと言うと、これを初めて知って私は驚いたのですが、ボクトウガは幹の形成層(導管と篩管が通っている層)まで穴を開けて、幹の表皮に樹液が流れ出るようにします。導管は根から吸い上げた水を葉に運ぶ菅、篩管は光合成で作られた糖分を下に運ぶ管で、それ以外に乳管、樹脂道があり、乳管は天然ゴムや漆など。樹脂道は防腐剤や防虫剤が入った樹脂(松ヤニなど)の分泌組織(この二つは傷を塞ぐのに役立ったり、虫や菌の侵入を防ぐ役割がある)まで傷付けますので、それらが混ざり合った液体が「樹液」となって幹から流れ出るわけです。地中からミネラルを含んだ水、葉から糖分を含んだ水、乳状物質、樹脂などが混ざり合った液体が幹の表面で空気に触れて、微生物によって発酵すると、酢酸とエタノールが生成されます。これがクヌギから漂う甘酸っぱい樹液となります。多くの昆虫がこの香りに誘われて集まってくる。
実はボクトウガの幼虫は肉食なのだそうです。樹液を飲んでほろ酔い気分になった虫を捕食する。そのためにわざわざ幹に穴を開けて樹液を流し、アルコールで酔って動きが鈍った昆虫を食べる!そのような巧妙な罠を仕掛けて生きようとする蛾の幼虫がいるのです。
このメカニズムを知って、私は長年の謎がひとつ解けました。子供の頃、カブトムシを捕りに森に出かけて、クヌギを一つ一つ調べるのですが、クヌギと言っても必ず樹液が出ているわけではなく、むしろ出ていない木の方が多いのです。なぜこの木だけ樹液が出るのか、また年によって去年は出ていたのに今年は枯れていたり、7月には乾いていたのに8月に入って出始めたりがありましたが、これがまさかボクトウガの仕業だったとは!また、「木に穴を開けたり傷つけると樹液が出る」事を学んだ誰かが、ナタやドリルで人為的に傷付けた痕跡を見つけることがありましたが、傷付けて2〜3日は出るけどすぐに治まってしまう。これはおそらく、ボクトウガは掘ったトンネルを行き来して常に樹液が流れるようにメンテナンスしているはずです。木は細菌に感染したくないから樹脂を分泌して修復しようとするけれどボクトウガがそれを許さないのです。毎日齧り続ける、もしくは特殊な酵素を出して傷が癒えないようにしているかもしれない。
ハニーエイトマンさんの日誌にはシマトネリコの記述もありました。カブトムシがシマトネリコの幹を齧って樹液を吸うと言う話です。この場合はボクトウガは無関係で、カブトムシが単独で溝を掘って樹液を吸う。でもこの傷付け行為はシマトネリコがすぐさま傷口を修復しようとしますので、クヌギの樹液みたいにずっと樹液は出なくて、齧りながら汁を吸い、次の日にはまた新しく齧らないと樹液は出てこないようです。
ここで、ハニーエイトマンさんの日誌にある研究発表した小学生博士、そして山口大学の研究成果に対して、私の見解を書きたいと思います。
クヌギの幹の上でカブトムシとオオスズメバチが戦うと、どちらかと言えばカブトムシが劣勢、しかし猛牛のようなカブトムシのオスはオオスズメバチを追い払う場面も見たことがあります。それでも平均的にはカブトムシの命に関わるような邪魔をするのはオオスズメバチなので、住み分けをする機会が多い。なので昼も来るけど夜だったらカブトムシの独壇場になる。
問題はシマトネリコです。「実はカブトムシはシマトネリコに昼間に来る」事を発見した小学生博士ですが、上記の食物網のサイクルからは外れた行為がシマトネリコの食害です。シマトネリコは沖縄から東南アジア、インドなどに自生する木ですが、30年ほど前から住宅や店舗などの植栽に(関東以南)使われるようになり、そのお洒落な葉の連続性や常緑で色が鮮やかな緑であること、丈夫であることなどからガーデニングなどで流行して来ましたが、それは比較的最近のことで、シマトネリコがある一定数どこにでも普及するようになって、そこにカブトムシが目をつけた。それで最近になって昼間でもカブトムシが活動する事を発見、、、となった。またシマトネリコの開花時期は7月初旬で、オオスズメバチが体力を蓄えて本格的な活動を始める8月よりも少し前なので、シマトネリコで戦いは起きていない、もしくはシマトネリコの樹液はオオスズメバチにとってあまり魅力的ではないのかもしれません。
長々と書いてきてしまいましたが、いよいよ本題です(まだ続くのかよ)
本題というのはミツバチとオオスズメバチの関係についてです。
樹液に集まるオオスズメバチを見たことがある方ならわかると思いますが、樹液に来るオオスズメバチ、蛾やカナブン、キマワリ、ケイシキスイ、、などの他の昆虫を狩る姿、見たことありますか?私は無いんですよ。樹液を巡って戦うことはしますが、あれだけ多くの虫がいるのに、幼虫に与えるための狩り(肉団子にして持ち帰る)はしないんです。セミを捕まえることはするのに樹液に来るときは樹液だけ。同じことは他でもあります。イチジクが熟れてくると多くのスズメバチが飛来します、熟れた柿にも。そこに来る時のオオスズメバチは何故か平和的です。
私が引っ越しをする前に住んでいた佐倉の庭では、シマトネリコの他にイチジクの木がピザ窯の3メートル離れた場所に植わっていたのですが、イチジクが熟れる8月頃、常時20匹くらいのオオスズメバチが乱舞していましたが、ピザ窯に来るのはキイロだけで、オオスズメバチが襲って来たことは一度もありません。
常識的に考えると、二つが並んで置いてあった時、オオスズメバチはミツバチの巣箱を襲うよりもイチジクの方に行くのではないか。飛躍して考えると、毎年オオスズメバチの被害に苦しんでいるミツバチ飼育者さん、巣箱の前にイチジクを植えてみたらどうなるのだろう????「オオスズメバチ避けにイチジクを植える」どうなんでしょう?巣箱の目の前にイチジクあるのに、巣箱が毎年襲われる、、、という方はいらっしゃいますか?
ペットボトル、バドミントンラケット、見回り、ぺったんこ、、、それら全てがイチジク様のおかげで必要なくなる?そんなわけないですかね。でもイチジク美味しいし、試す価値はあるかもしれません。
ちなみに、シマトネリコ、ひとつ前の日誌で差し上げますと書いたんですけど、まだ残っているのでご希望の方はぜひ♪お一人様複数本でもOKです。