スノコの上に多目的空間を作ったので早速天井裏に温湿度計を設置しました。
以前から設置している巣箱外部の温湿度計は巣箱から2m程離して環境温度を計測して巣箱内と外部環境との温湿度データを比較できるようになりました。
・天井裏に磁石で設置した温湿度計
まずは計測1日のデータを取得できたので温湿度計の専用アプリの画面から
10/20-21の温湿度データ履歴を見てみます。
・外部環境
・巣箱内のデータ
温度は巣箱内の方が高い状態を維持しているように見えます、時刻にっては3℃ほど高い時刻もあるようです。
ミツバチの巣箱内の温度については一般論?の36℃程度からはかなり低くなっていました。
理由はわかりませんが、蜂がオシクラマンジュウしている部分はもっと温度が高いと予想すれば天井裏のあたりはこの程度なのかも?と思っておくことにします。
湿度については外部環境は温度の変化と連動する形で大きく変化しています。
(気温が高くなると湿度が下がり、気温が低くなると湿度は上がる)
巣箱内の湿度は外部に比べて変化が小さいようです。
と、ここまで見てみましたが比較しにくいのでデータエクスポートして
データ処理しました。
・温度データ(℃)
比較しやすくなりました。以後、青線は巣箱の外、赤線は巣箱の中です。
横軸一目盛り1時間、縦軸一目盛り1℃にしてあります。
データの開始後数時間は蓋を閉じた直後なので今は無視します。
全体的に外気温よりも内部温度は緩やかに温度変化しているようです。巣箱で断熱されていてミツバチ達が温度変化をなるべく一定に保とうとしていると理解しました。
18時から日の出までは2~3℃巣箱内の温度が高くなっている状態を保っています。
日の出の6時あたりから外気温が上昇し始めますが巣箱内は7-8時くらいから緩やかに温度が上昇し始めるたことが分かります。
このデータの日は10時から昼頃までは巣箱の内外で同じような温度になっていました。
これは、外気温の温度変化が急激だったので応答遅れしているのだと思います。
その後、14-15時あたりで外気温は下がり始めますが、その1時間遅れくらいから内部は温度が下がり始め外気と3℃程度の差で夜を迎えました。
・相対湿度(%)
一般的な湿度計は相対湿度を表しています。この温湿度計の湿度も相対湿度なのでデータのタイトルを相対湿度にしています。
相対湿度のデータを巣箱内/外で並べてみました。
全体として巣箱内の湿度は外気に比べて”安定しているように見えます”。
ただし、相対湿度はその温度での空気中に含むことのできる水分の最大量(飽和水蒸気量)に対する現在の水分量の割合を示しているので温度が変わると空気中に含むことができる水分の量そのものが変わるのであまり直感的ではありません。
そこで、容積絶対湿度というものに換算します。
これは空気中にどれだけの水分が含まれているか?というのを絶対量(グラム)で表します。
同じ相対湿度でも気温が違うと含まれる水分量が変わります。
この水分量を示したものを容積1m3辺りのグラム数で表したものを容積絶対湿度と言います。
例えば、相対湿度50%の場合は
・気温30度では1m3の空気に15g程度の水分
・気温10度では1m3の空気に4.7g程度の水分
が含まれることになり、同じ相対湿度でも含有水分量は3倍異なることになり水分量を直感的に理解できるようになります。
ということで、気温と相対湿度から容積絶対湿度を求めました。
・容積絶対湿度(g/m3)
はい、まず着目したいのは外気の容積絶対湿度が夜間も日中も変化が大きくありませんでした。
これは、外気に含まれる水分量は季節変化はあるものの、1日の中ではそれほど変化しないという定説と合致します。
値そのものについては住居室内の快適性について調べると
「冬場は乾燥しているのでなるべく8g/m3以上になるように加湿しましょう」
とか書いてあるので冬場の外気はもっと小さいと予想できます。
今回のデータは冬前に気温が下がった時なのでそれほど小さい値にはなっていませんが7~8g/m3となっているので晩秋の外気データとしてはある信頼できるデータだと思います。
一方で巣箱内の容積絶対湿度は日中と夜間で大きく変化が生じています。
夜間は10g/m3を下回り、日中は12.5~14g/m3程度まで上昇しています。
これは日中に新しい蜜を集め水分の多い蜜の蒸発が盛んなためだと考えられます。
夜間は蜜の収集が無いため絶対湿度は低下していきますが、それでも外気と比べると高い値で推移しています。
これは夜間も働き蜂によって蜜の濃縮作業を頑張っているのだと思います。
今回巣箱内/外の温湿度データを取得し、初めて内外の温湿度について考察することができました。
現在までの経験則や定説の裏付けになったり冬場の温湿度について更に理解を深めたりするのに役立ちそうです。