小学生の頃テレビで放映されたアニメ 昆虫物語「みなしごハッチ」を視聴してから、毎週放送を観ては劇中に出てきた虫仲間を昆虫図鑑で調べ、次週を待つといった具合に蜜蜂を中心とした昆虫全般にとても興味を持ちました。
それから蜜蜂の飼い方を図鑑で調べようとしましたが、なかなか養蜂という形態での飼育は掲載されておらず、ハチに関してはアシナガバチを注意深く観てみましょうという程度でした。
ある日友人が書店で発見した中野茂著「ミツバチ」をやっとのおもいで少ない小遣いを費やして購入し、養蜂としてのみつばちの飼い方~種蜂を購入して受け取る~巣脾枠の挿入など頭の中でシュミレーションを幾度となく繰り返した後、両親に「ミツバチ飼ってもいい?」と尋ねると、即「あんな刺す危ない生き物はいけません。」と一掃されてしまいました。
それからは代償として交尾直後のアリの女王を捕らえて水槽に土を入れて飼い始めました。一匹の女王が産卵して大事に育てあげ少しずつその数は増えていきました。自宅机の右側最下段の引き出しは・・・アリの国。そしてその下にあるごみ箱内はキャベツ畑から調達してきたモンシロチョウの蛹がいっぱいくっ付けられていました(笑) 繁栄したアリの国ですが、その平和は長くは続かず、列をなして台所砂糖入れに餌集めに出かけた働き蟻が母親に見つかり、列をたどって我がアリの国も母の怒りとともに屋敷外に追放されてしまいました。もちろんヒラヒラと舞い出てきたモンシロチョウたちも一緒にです。
それから何年経ったでしょうか。就職後の転勤先で養蜂家に出会い観察に出かけるようになりました。また運よく仕事先で戸袋に営巣した日本みつばちの捕獲をしていいという幸運にも巡り遭えました。
しかし、それは野生の日本みつばちです。当時養蜂書として出版された本は全て養蜂種としての西洋ミツバチの飼育法ばかり。日本みつばちが載っている本は、井上丹治先生のカラーブックス「ミツバチ」中の僅か2ページと岡田一次先生の「ミツバチの科学」付録として最終項にある対馬の日本みつばちくらいしかなく、当時日本みつばちをラ式巣枠式に取り入れて飼育管理を始めてみたものの今の様に頻繁に内検することは逃去を促すばかりと考えていましたので、観察用に西洋ミツバチを翌春から飼うことにしたのです。
それから30数年、ず~っと楽しい日本みつばちと西洋ミツバチの併飼を楽しんでいます。
一番最初に採蜜した真っ黒な日本みつばち蜂蜜は、今も宝として大事に保存して大切にしています。