今月15日に展覧会はオープンいたしました。
皆様のおかげで作品が理想的な形で完成いたしました。心から感謝申し上げます。何人かの蜂友さんが観に来てくださって嬉しかったです。
ミツバチQ&Aのネットワークによって作品が完成したことをご報告すると共に、この場をお借りして感謝の気持ちをお伝えしたいです。ありがとうございました!
とりわけ誇らしいと感じるのは、作品に使われた素材がミツバチQ&Aの皆様が提供してくださった巣箱であると言うことでした。来館のお客様は作品をそれぞれの感じ方で観てくださいますが、「スムシの穴」の深いところの意味までは当然知らない。ミツバチと肉迫した暮らしをしている皆さんだけしか知らない。でも、ミツバチの暮らしを知らない人でも、作品から発する生命力は伝わっていたと思います。
「クソッ!スムシの野郎め」と呟きながら巣箱の後始末をする私たちですが、制作をする過程で私は大きな気づきを得ました。それは「みんな必死で生きている」と言うことです。群を守り切ることもあれば、スムシが勝つこともある。それと同じことが森で、川や田んぼで、野原で繰り返され、何一つ無駄なことはありません。スムシがいなければ森の樹洞に残された蜂の巣はずっと残ってしまい、新しい群が入居できません。爆発的なパワーで短期間で綺麗にしてくれる昆虫がいるから、別の昆虫も生きられる。
そのようなメッセージが私のところに届いたような気がしました。「手紙」と言う作品のタイトルは、生き物たちから私に届けられた手紙です。
それと同時にもうひとつ、お伝えしなければならないことがあります。
この展示室は二人の作家によるひとつのストーリーでしたが、相棒である松隈健太朗さんはこの展覧会を見届けることができないまま、今年の2月12日に膵臓癌でこの世を去りました。5年間の闘病生活の末に力尽きました。信頼する同胞としてずっと励まし合い、頑張って作品を作り続けてきた偉大な彫刻家でした。最後に二人で展示ができたことを、私は誇りに思います。ひとつの壁に彼が死の直前に描いたドローイングがあるのですが、本当はこの幻の作品を中央の空間に展示する予定でした。
「手紙2」のミツバチ語で書かれたメッセージは、ミツバチたちから私へ届いた手紙であると同時に、私から彼へ宛てた手紙でもあります。ミツバチ語を翻訳しますと、
「このドローイング、実際に作ったらどんな作品になったの?」
撮影:tomosugar