ニホンミツバチの飼育を始めて3回目の越冬シーズンが過ぎようとしています。
初年度は単群飼育で越冬し、次年度は4月に3群となりうち1群は逃居、残り2群はアカリンダニにより共に消滅。
蜂場は1.2㎞離れた2か所でそれぞれ1群ずつの飼育。単群を2か所と言う状況でした。
消滅してしまったもののどちらの群れも豊富なハチミツを残してくれ恵みを得る事ができました。
そして今年度は仲間も増え自身は前年と同じ蜂場2か所で2群と4群、町内で離散的に4人が1、2群飼育している状況でした。ほぼ全ての巣箱を(不)定期的に観察していますが、必然的にいろいろな飼育場を良く見る機会が増え蜂群の置かれている状況を良く見るようになりました。
Googleマップの衛星写真でも森の状況を良く見るようになりましたが、どの蜂場も森の真っただ中にある訳ではなく、例えば私の二つの蜂場はミツバチの行動半径と呼ばれる2㎞以内の半分程度は土地改良区による大規模に整地された畑があり蜜源豊富と言える状態ではないように思います。
更に、土地改良区の真ん中に強制捕獲群を移入し飼育を始めた友人の群れは夏前までに巣が十分な大きさにならず2段のまま、やがてオオスズメバチ飛来から盗蜂により結局のところ全滅してしまいました。畑の周りの畔に雑草の花は咲くものの、巣箱の周りの9割近くが畑で玉ねぎやキャベツ・ブロッコリーなど大規模に栽培されているド真ん中です。隆盛しなかった理由はほかにもあると思いますが、このような場所は飼育場としては適さない、これは本当にそうだろうなと感じました。
9月の採蜜状況は梅雨明けが早かったためか夏の蜜枯れ期間が長く、全く採蜜できなかった群れが1群、多くの群が採蜜するには心苦しい量となっていました。それでも夏前までに隆盛した群れは秋以降更に大きな巣となりました。
そして冬となり、4群飼育の蜂場だけが盗蜂と思われる死蜂が多めに出る日が時折りみられるようになりました。これはアカリンダニのように徘徊蜂がある訳ではなく蜂たちが良く飛ぶ暖かい日に限って盗蜂とみられる飛び方の蜂が飛来するのを目撃しています。幸いにも自群強しで追い返して今の所気にするほどの被害では無い状況となっているようです。
1,2群飼育の他の蜂場には今の所盗蜂と思われる状況は皆無です。
感覚として思う所は、4群飼育の蜂場は今の(今年の)蜜源量に対して少し多いというかギリギリなのではないかと感じるところです。本来であれば風雨・オオスズメバチにより消滅する群れが飼育群であればある程度保護されることで森にいる野良ミツバチの蜜源を脅かしているように感じるようになりました。飼育群が多く生き延びていけば巣箱・巣門の工夫で鉄壁のディフェンスにより盗蜂から守ればそのしわ寄せが自然の野良ミツバチへ向けられます。これが良いか悪いかは別として、自分が飼育しているミツバチ達だけがミツバチではないのでなるべく自身のエゴを押し付けることなく自然の野良ミツバチも平等に生存してくれたらいいなーと感じる事が多くなりました。
当地で冬に盗蜂が発生しやすい状況については少し疑問があります。付近には枇杷の花が咲くところが多くあり冬でも巣板が良く伸びます。しかしながら盗蜂が起こっているというのは冬は蜂が出かける距離が短くなっている、遠くに出かけたくないから近くの巣箱に侵入するのでは?という事が示唆されているようにも感じます。
いろいろと分からないことがまだまだありますが4年目に突入しつつある中で、自身の巣箱の目の前の事象だけにとらわれていては「木を見て森を見ず」これは痛感するようになりました。
経験豊富な先輩方がいらっしゃる中で恥ずかしながら、今は「木(巣箱)を見て森(野良群)を感じる」そういう事を考える事ができればいいなぁーと思うようになりました。
蜜源となる木を植える事も並行して進めていますが、木から花が咲き蜜となるのはずっと先ですし、森の木は数百数千本と数えられない程ある中で自分がどれだけ植えたら効果が出るかなんて事は火を見るより明らかに焼け石に水と感じます。しかしながら少しでも植えれば効果はゼロではありませんから慌てず欲張らず徐々に周辺環境を感じながら続けていけたらと思います。
※追記
画像もなくつらつらと書いた長文日誌にもかかわらず多くの関心を寄せていただきありがとうございます。もう少し分かりやすいように当地の現在と1990年頃の地図を添付しました。左が30年前、円の半径はおよそ1㎞です。私の巣箱は右図の森と畑区画の境目にあり正面に畑、背側に森となっています。
昔の衛星写真はGoogleMapではなく国土地理院(文末にリンクを置きました)の地図から簡単に確認できます。
昔はどうだったとか開発前の記憶をたどったりするのに面白いのでぜひ皆さん一度確認してみて下さい。
https://maps.gsi.go.jp/