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セイヨウミツバチが野生化した島
セイヨウミツバチは、日本のすべての地域で野生化していないわけではありません。
小笠原諸島には、スズメバチが生息しておらず、セイヨウミツバチが野生化しています。
セイヨウミツバチは、多くの種類の植物を利用できる優秀な送粉者である一方、在来のハナバチ類の餌資源を奪ってしまうことで、それらハナバチ類への影響が懸念されています。
こういったスズメバチがいない地域への、セイヨウミツバチの導入は、自然生態系に多大な影響を与えてしまう可能性があることを注意をしなければなりません。
https://biome.co.jp/biome_blog_080/
小笠原諸島では、グリーンアノール、セイヨウミツバチが両方生息する父島、セイヨウミツバチは生息するが、グリーンアノールの駆除が行われ、ほとんどグリーンアノールが見られなくなった兄島、グリーンアノール、セイヨウミツバチどちらも生息していない聟島で、花にやってくる昆虫層の調査が行われました(辻村ほか 2015)。その結果、父島、兄島では、日中に観察される昆虫の数が、グリーンアノールもセイヨウミツバチもいない聟島に比べて10分の1ほどであることがわかりました。特に父島では、日中に在来の昆虫がほとんど発見されませんでした。このことは、グリーンアノールが昼行性であるため、昼に動く昆虫がほとんど食べられてしまったためと考えられています。また、父島、兄島に生息するセイヨウミツバチが、在来の昆虫の蜜資源を横取りしてしまったため、在来の昆虫が聟島に比べて大きく減ってしまった可能性があると推察されています。一方で、グリーンアノールやセイヨウミツバチが侵入していない聟島では、発見された昆虫数は多かったものの、その種数は少ないという結果になりました。このことは、1960年代に増殖したヤギが、植生に大きな影響を与え、植物の種数が著しく減ったことによるものではないかと考えられています。自然環境は、過去も含めて様々の種の影響を受けるため、一つの種の影響の評価は非常に難しいですが、そのことを加味しても、グリーンアノールとセイヨウミツバチは小笠原諸島の生態系に非常に大きな影響を与えていると考察されています。
セイヨウミツバチを駆除することの是非
父島や兄島では、在来種の減少によって、現在多くの植物の送粉は、セイヨウミツバチによって行われていると考えられています。外来種であるセイヨウミツバチが、小笠原の生態系維持に貢献している可能性があるという皮肉な状況です。しかし、一部の小笠原固有の植物は、セイヨウミツバチによって送粉がされないため、結実率が大幅に減少しているようです。とにかく、グリーンアノールは駆除するのが先決だとされていますが、セイヨウミツバチの駆除については、その影響を見極めた上で慎重に行う必要が指摘されています。外来生物の影響を強く受けて改変されてしまった地域では、自然環境を管理するのが如何に難しいのかということを思い知らされる事例といえます。