仕事場の建物に沿って行ったり来たり、高度1メートルを維持しながらパトロールするオニヤンマ。その航路に侵入してくる飛翔物体を確実に捕らえます。ところがその途中に建物から排気のための換気扇がオニヤンマの邪魔をします。風を受けて飛ぶ習慣が身についているのでしょうか、道草を食うように行き先を90度変えて、換気扇の風上に向かって飛び始めます。航路の先にはシマトネリコの木陰に道具などを洗う洗い場があり、暑い日はホースの先からわざと水を少しだけ漏らすようにしていて、多くの昆虫たちのオアシスになっているのですが、そこにミツバチはもちろん、アシナガバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチ、アオスジアゲハなどが給水に訪れます。アフリカ、サバンナの水場に集まる草食動物を狙って肉食動物が集まるみたいに、オニヤンマにとっても最高の狩場なのですが、その手前の換気扇が、狩の邪魔をしてくれることに気づいてからは、終日スイッチをつけっ放しにするようになりました。撮影したのは2週間ほど前になりますが、おそらくこれが今年最後のオニヤンマ目撃になるかと思います。今日初めて秋の香りを微かに感じました。