奄美大島にはどこにでも、指の爪ぐらいの大きさの可愛い蝶々がいるのだが…
何とこれ、食草がソテツである。全草を「サイカシン」という有毒・発がん性物質で武装している。ソテツは救飢作物としての植栽が推奨された時代もあったのだが、いざ後の時代にこれを食そうとして適切に毒抜きせず食べ、中毒事故が散発したのだという。蝶々は時々信じられないような物を食べているが、シュウ酸(ヤマトシジミ:カタバミ)や樟脳(アオスジアゲハ:クスノキ)と並ぶ衝撃的な解毒能力である。
そんな物を、よりによってこんな小さな虫が食べて…食べて…丸坊主にして枯らしてしまう。このシジミチョウはクロマダラソテツシジミ。昔はこんなのいなかったらしい。暖地の虫らしいので、このまま温暖化に従い北上を続ける可能性がある。
標本を作ろうと針を刺すと、胸部が壊れてしまった。もっと細い昆虫針を用意せねばならない。