低温下の冬の分蜂は、分蜂群にとっても、巣箱に残った新女王群にとっても、生き残りが困難だと思われます。 (~_~;) 以前より異変を感じていました。
10月末の分蜂 https://38qa.net/blog/314278 に続き、ハチ友から、別のハチ場の飼育群が12月初旬に2回分蜂(蜂球形成確認)し、そのうち1回目分蜂は蜂球を強制捕獲、2回目分蜂は近くの、古い巣箱に入居したという一報が届きました。これは、わたしたちの地域(愛知県知多半島)の、そのまた狭い範囲内の少数例に過ぎません。それでも、12月になってから、それも複数回の分蜂が確認されたのは初めてです。1昨日は相棒の群れ2群、自群1群に「継ぎ箱」しました。12月の「継ぎ箱」も初めての経験です。
例えば、春のソメイヨシノの開花の引き鉄は、開花前の積算温度と、秋か ら冬にかけて 5.0℃前後の低温に一定期間さらされると眠り から覚め、再び生長を進めるという「休眠打破」の現象が知られています。ハチの分蜂は温度の変化の他に、直接の引き鉄となるのは何でしょう。このような遅い時期の分蜂を経験すると、不思議に思います。在野の日本ミツバチの研究者、故久志富士男氏はその著書で、「赤道直下の常夏の国では、トウヨウミツバチは年中分蜂している」と語っています。
人より数分の1小さい昆虫にとって、このところの急激な温暖化は、常時熱帯気候のように感じたのかもしれません。人と昆虫の認知の差は大きいようです。例えば、最近読んだ本の中に、『生物はそれぞれ独自の「時間」と「空間」の中に生きている。カタツムリにとってこの世界のさまざまな対象は、人間がふだん感じているよりも、ずっと早いスピードで動いていると考えられています。というのも、人間は18分の1秒(約0.056秒)きざみで周囲の現象を認知できるのに対して、カタツムリは4分の1秒~3分の1秒(約0.25~約0.33秒)でしか認知できない。』と書いてありました。
また、この時期は、ハチが低温によるストレスから攻撃的になっていることや、外勤するハチが少なく、見た目の変化が乏しいため、飼育者の飼育場の巡回や内検は、暖かい時期の比べ少ないと思われます。これが、飼育者の分蜂を確認する機会を奪うと推測します。例え巣箱内部を確認し、ハチの数が極端に減っても、低温下の分蜂は無いはずという先入観が、原因を別に求めることになるかもしれません。
このことは、以下の春の分蜂の図1で、12時~13時の分蜂が少ないのは、「昼食で観察する飼育者が減ったとのではないか?」というハチ友からの疑義から類推しました。
図1
図2
数少ない、それも狭い範囲の異常な分蜂から想像するのも早計ですが、これからの分蜂が、下図2 のような4月を中心に狭い期間内での分蜂から、富士山の裾野のように、4~5月のビーク時を中心に左右に広がる長い期間の分蜂になり、やがて亜熱帯や熱帯地方のトウヨウミツバチと同様、年中分蜂するようになるのでないかと心配しています。特に異常に早い分蜂と異常に遅い分蜂は、交尾の機会や、貯蜜と蜜源の不足から、生き残りが難しいと感じています。 (;^ω^)