興味深い事が確認できました。オスバチは、自分が所属している群れ(巣)から別の群れ(巣)に自由に移動する事が可能だという事です。この事は、学問的にニホンミツバチを研究している方や、長年ニホンミツバチを飼育している方などには周知の事実なのかもしれませんが、報告しておきます。
↑中央、突如入居(所属変え)してきたオスバチのうちの1匹
この春3月に自然入居した群れで、とても安定した強群がいます。基巣と呼んでいます。この群れはおそらく母親群で、夏分蜂する事もなく、今に至ります。この群れのオスバチは、5~7月頃には出現し確認できていたのですが、8月に入るとオスバチの姿は見られなくなり、8月9月とこの約2ヶ月間、この基巣ではまったくオスバチの姿は確認できませんでした。ここの書き込みなどで、今の時期でもオスバチがいる巣がある事を知りましたが、基巣では、もう来年の初夏までオスバチの姿を見る事はないだろうと思っていました。
先日の9月27日、スズメバチの襲撃を受けていたこの基巣でスズメバチを退治していたところ、上空に、14時頃、突如ハチ雲が現れました。そして近くの横板の下に蜂球を作りはじめました。この時期なので逃去群でしょう。この時期の逃去群は捕獲が難しい(巣箱に留まりにくい)と聞いてはいたのですが、置いていた待ち箱に探索バチが来ていなかったので捕虫網で捕獲して待ち箱に入れました。その時によく見ると、なんとその逃去群には、そのハチ場で久しく見た事がないオスバチが、かなりの数混じっている事がわかりました。その時、基巣では、逃去群の中から基巣に侵入しようとしたハチ(働きバチ)がかなりいたようで、激しい闘争が起こり、30~40匹の死骸が巣門下に落ちていました。基巣も興奮気味で、日頃は午後に数回行う時騒ぎも、この日は行いませんでした。
翌日28日の午後早くに見に行くと、残念ながら待ち箱に入れた逃去群は、昨日落ち着いているように見えていたにも関わらず、すでにまた飛び去った後でした。基巣も今日は落ち着いており、いつもどおり巣門から多数出入りしています。が、よく見ると、なんとその中に、多数のオスバチの姿があるではありませんか!! この約2ヶ月間、この基巣ではまったく姿を見る事がなかったオスバチが、突然かなりの数巣門から出入りしているのです。もちろんオスバチの蓋もまったく見ていません。それらのオスバチ達は、昨日この場所に来た逃去群から、基巣に入り込んだのは間違いありません。おそらく少なくとも30~40匹はいると思われます。そして興味深い事に、基巣の働きバチ達は、明らかに他の群れにいたオスバチであるにもかかわらず、まったく攻撃や排除しようとしないのです。まるで以前から基巣にいた仲間であるかのように、オスバチが自由に自分達の巣に出入りしているのを認めているのです。前日、巣に入ろうとした逃去群の働きバチは、刺殺したのですが。
オスバチは、おそらく巣箱から飛び去る逃去群から、基巣のほうが群れも大きく安定しているとの判断から、基巣のほうに入り込んだのでしょう。働きバチの行動から、オスバチの群れ(巣)間の移動は、許容されていると思われます。オスバチはこのようにして、自分が気に入った群れ(巣)から群れ(巣)を、自由に移動しているものと思われます。基巣に来たオスバチの行動は、午後に巣から出ていき、少しして帰ってくるという、初夏頃と同じようでした。それ以降毎日、オスバチは基巣から出入りしています。またニホンミツバチの興味深い世界の一部を見る事が出来たように思いました。他にも、もし似たような事例がありましたら、教えて下さい。