前回の日誌の続きです。
収容現場で解散するはずでしたが、artemisさん、アピ介さん、にその後も付き合ってもらいました。私の拠点から300メートルほど離れた蜂場にいる弱小群の傍に置き、これから挑戦する合同について考えると足の裏に冷や汗が出てきました。
2群を接近させ設置します。
左が既存の健全群(弱小)中央が摘出巢板を吊り下げた巣箱、右の斜めに立てかけたのが移動箱。蜂たちはゾロゾロ新巣箱に入って行きました。中にはさっきまで住んでいた巢板がありますから移動はスムースでした。
たまたま偶然に、数日前に見かけた日誌が気になっていました。「え〜?嘘だろ〜?ホントかいな」と思ってしまったほどの内容の日誌でした。
すぐに清.佐さんにメールし、状況を説明したら回答を下さって、合同は可能だと言う。藁にもすがる思いで合同することに賭けてみようと思いました。
清.佐さんによると合同の条件は無王となったことを群の大半の蜂たちが自覚し、女王を渇望すれば争いを起こさずに融合できると言う。弱小群も働き手は欲しいから、両群にメリットがあるはずだと思いました。そのための準備として、ふたつの巣箱を接近させ慣れさせる事と、女王の亡骸を無王群の巣門箱内部に置くことを試してみました。
ネコマルさんが発明したはさみ枠に収めた巣脾は育児部分だけのため、連日大量の給餌をして、群を飢えさせないことを心がけました。盗蜜の心配があるからです。
毎日少しずつ巣箱の距離を近づけつつ中間はベニアで遮蔽します。右が無王群。
そして、再建した巢板の蓋がけ巣房がどれくらい羽化したのか、働き蜂産卵が始まったかを確認するために、巣箱側面を開いて直接内検しました。ビーサイレントで蜂をどかして確認すると、そこでは衝撃的なことが起こっていました。
群は諦めていませんでした。女王がいないことを認識し、生前の女王が産んだ卵から変成王台を作り、群をもう一度復活させる努力をしているのです。
全面が蓋がけされていた巢板の大半は羽化が済んで、新しい育児が始まり、働き蜂産卵も確認できました。
群は絶望していない。団結しています。群としての誇りを捨てていないのです。こんな状態で合同したら、この蜂たちは最後の血の一滴まで戦う事になると思いました。
分蜂時の新女王の交尾失敗であれば卵が無いので変成王台は作れませんが、この群は亡き女王の忘れ形見を大切に育てようとしている。改めて、申し訳ない気持ちで涙が溢れました。
王台を潰し、群を絶望に叩き落として改めて無王を自覚させ、合同を試みる。そんなことはできません。
しかし今の時期です。もう野山に雄蜂はいないでしょう。いや、いるかもしれない。少なくとも、この蜂たちはそれを信じています。私も、それを信じるしかありません。合同は中止します。もしもそれで群が消滅しようとも、私にこれ以上この群を操作する資格などあるわけがないのです。
これから徐々に巣箱を離し、交尾が成功することを祈るだけです。