みなさまこんばんは。お見苦しく、衝撃的な画像と共にお届けする今回の日誌は、私にとって苦しく、残念であり、今後の人生について考えさせられる内容となってしまいました。
一昨日、私は蜂毒アナフィラキシーで生死を彷徨いました。病院に一泊して今は元気です。下瞼を刺されたので現在は負け試合後のボクサーみたいになってます。
前回の日誌で検証したメントールシート3クール目を全ての群に実施するために、7箇所の蜂場7群を回って最後の群での作業を終え、帰る間際に巣門に引っかかった落ち葉を取り除こうとして1発喰らいました。
車に常備してあったエピペンを初めて使いました。取説を指でなぞりながら読み、ズボンを降ろして太ももの外側にカチッと。刺さる感触が全く無かったので失敗したのかと思いましたが、血が垂れて来たので成功したと思いました。刺されて3分後に打ちました。
肛門が猛烈に痒くなり、手のひらと足の裏が言葉に表せないような痒みと痛み、風邪をひいた時の悪寒の強烈な感じが手足に集中していると言いますか。次に吐き気と息苦しさ、激しい動悸があり、蜂場が山の中であったこと、住所を言葉で説明できなかったことがあり、大急ぎで車を発信させました。県道に出て、3キロほどのところにコンビニがあったので、そこまで頑張ろうと思いました。途中で運転席から見た風景は一生忘れられないほど美しかった。全てが白銀色に輝き、羽毛のようにざわめいていました。コンビニに着いて、飲み薬を飲むためにお茶を買おうと店内の陳列棚でボトルを出したところで意識を失い、その瞬間に顔面に激しい痛みを感じて、次に見えた風景は床に落ちた小銭、ボトル、起き上がったら床に血がたくさん落ちていて切れた目の上からもポタポタ垂れていました。アイスクリームのショーケースにつかまりながらレジカウンターへ、お茶1本購入し、外に出て車に乗って薬を飲みました。呆然としていたらサイレンの音が。店員さんが救急車を呼んでくれたようです。
救急車の中では隊員の方が私にずっと話しかけます。養蜂のお仕事をされているのですね?ミツバチって言うのは蜂蜜が穫れるのでしょ?どんな作業をされていたのですか?アカリンダニ?メントールってあのスースーするやつですよね?
刺されてからその時点まで、私はとても冷静にものを見、判断していたと思います。「あの〜写真撮っても良いですか?」この出来事は必ず日誌に投稿しなきゃと思っていましたので、薄れゆく意識の中で自撮りをして、そのあたりから記憶が曖昧です。気がついた時はICUでの処置が終わって病室に向かう廊下の天井がぐるぐると動いてました。
担当医の先生が病室に入ってきて説明をしてくれました。「あなたの症状は最高レベルのアナフィラキシーショックでした。エピペンだけでは足りなかったので他に2種類の昇圧剤を打ちました。それでダメならお手上げでした。」
翌日の午前中には退院しました。今、仕事場の引っ越しで大忙しなので、作業をするために引越し先の現場に戻ったら、昨年に移設した1群が賑やかに時騒ぎしているのが見えました。
遠くで楽しそうに舞っているあの友人たちは私を2万回殺すことができる。
涙が出ました。新天地の庭に溢れんばかりの蜜源植物を植え、年老いて死ぬまでミツバチに囲まれていたかった。しかし私と時騒ぎとの距離が遥か向こう岸に行ってしまいました。近づけないのです。花粉を付けて帰ってくるはっちゃんたちにおかえりと言ってあげられないのです。
そしてもうひとつ、さらに私を不安にさせるのは、7箇所に分散して置かせていただいている地主さんとそのご家族の健康です。「ミツバチは大人しいので冬に巣箱の中にいきなり手を突っ込んだりしない限り刺されることはありません」なんて嘘言って、もしも万が一、洗濯物に紛れたミツバチに刺されてしまったら、その人が私と同じ体質だったら、、、と考えたらゾッとします。確率の問題です。日々の生活に支障がない動線や巣箱を置く位置、巣門の方角を考慮していたとしても可能性はゼロではない。
採蜜を楽しみにし、作物の受粉に貢献し、ミツバチの舞う自分の畑に誇りを持つ、尊敬すべき地主さんたちの命を危険に晒しているのかもしれない。こんな発想、自分がこうなるまで想像できなかった愚かさ、思い上がり、・・・・・・・
海水浴ーーー溺れるかもしれない、バイクでツーリングーーー事故るかもしれない、可能性にビビってたら何もできない。しかし、今もし刺されたら、エピペン使ってしまって持ってないから、私は確実に死ぬでしょう。この日誌がいきなり途絶え、ずっとそのままになるのです。
ごめんなさい。ネガティブ極まりない投稿になってしまいました。せっかく、もうすぐいや、もう九州では分蜂が始まっています。
ですが、ですが、私はこの日誌を最後に、蜂を飼うことから足を洗うことはしたくありません。今はトラウマもありますが、何か、工夫したり新しい発想から、安全で楽しい趣味の養蜂を続けることができたら、その仕方について、これからゆっくり考えて行きたいと願っております。