■はじめの御挨拶と背景説明です。
同一の飼育場で飼育するA、B、C 本年分蜂の全3群の被害観察結果です。3群の飼育場での位置と距離は、ほぼ正三角形で、かつ一辺は≒(約)10mです。この飼育場は果樹園です。別の飼育場は、ここから直線距離で2.2km(グーグルマップで測定しました)離れた畑です。この飼育場では、オオスズメバチを始めとするスズメバチの姿を見ることさえ稀です。飼育場周辺のオオスズメバチの分布濃淡と守る側と攻撃する側のハチの数と、守る二ホンミツバチに、人がどれだけ助太刀するか、彼我の条件次第で被害に差がでるようです。私のオオスズメバチ対策は、甘かったようです。(>_<) ひょっとしたらこんな情報でも、皆さんの、お役に立てるかも知れません。被害報告恥ずかしいながら、書いてみました。(^_-)-☆
■スズメバチ防除方法です。
3群共通仕様:基本は、防御板+捕虫網+シートの3点セットです。巣門にステップ防御板をつけ、捕虫網でのマンパワー捕獲、その後の集団来襲時のみ、ネズミ捕りシートを追加装着します。ペットボトルトラップ等その他はありません。シンプルです。(B群にのみ、巣場下部に8mm目合いのネットを増設しました。巣箱全体を覆う目合いの適当なネット(注1)が、無かったので、とりあえず下部のみとしました) 巣箱は内径25×25×H15またはH12cmの重箱です。
(注1)スズメバチ除けネットは、つばくろうさんの日誌を https://38qa.net/blog/300009 を参照ください。
■2022年10月8日現在の観察結果です。(写真は10月8日以前のものもあります)
➊A群
図1
(1)結果:×大被害 逃亡行方不明 巣箱解体巣板回収済み
この巣箱、横に遮光版、上には長めの発泡スチロール板、上に一部遮光ネット 葦簀 一部琵琶の木で覆われています。これでも巣落ち、近頃はハンパない高温のようです。
(2)オオスズメバチ捕獲数: 延べ2日間≒150匹(内訳 ネズミ捕りシート≒50匹+ 捕虫網≒100匹)
(3)経過及び攻守の動向:本年分蜂群 重箱7段のうち5段下に巣板と群れが充実、暑さのため、こぶし大2個の巣板が落下、蜜が外に漏れてスズメバチが集団来襲、巣門に密集していた日本ミツバチを襲ったのか、巣門前は死屍累々の惨状でした。オオスズメバチを捕虫網で捕獲し、合わせてシートを設置、来襲の小康状態を見計らって、大急ぎで落下巣板を除去し、水で底板の蜜を洗浄しました。翌日には、群に逃去されました。もぬけの殻でした。(>_<)
前々日までは、オオスズメバチの姿を門前周辺で見ることはありませんでした。巣落ち後の蜜漏れが、突発激な集団来襲を誘引したと思われます。蜜が底板と、門前の壁にべったりついています。門前の壁の蜜の付着は、二ホンミツバチが集団していたと推測されます。ここをオオスズメバチが襲ったようです。この時期の巣落ちは、逃亡リスクが高いと思います。巣落ち、採蜜の際の蜜の外漏れは、間髪を置かず、水洗い等の措置を講じた方が良いかと思います。
❷B群
図2
(1)結果:△小破害? 図2、図3のとおり
(2)オオスズメバチ捕獲数: 延べ8日間≒150匹(内訳 ネズミ捕りシート≒120匹+ 捕虫網≒30匹) 図3参照
(3)経過及び攻守の動向:重箱5段のうち4段上部まで群れが充実 6月夏分蜂 小盛り上げ巣有 籠城戦を生き抜き、現在回復途上です。この群れを守ろうと捕虫網で奮戦中に刺されました。防衣と長靴など準備は完璧に、長靴は白色が良いかと思います。 この群れは夏分蜂でハチの数が大幅に減りました。4段目の上部の巣落ち防止棒に巣板が届いていません。3群の中では、最もハチの数が少ない。
図3
集団来襲を確認し、時を置かず、ネズミ捕りシートの2連天井設置(図3)、ネットの設置の即時集中投与が功を奏したと思っています。巣箱下部に、目合い8mmのネットを設置、これは巣箱下への潜り込みを防ぎ効果的でした。機会があれば、巣箱全体を網で包み、網も目合の、より広いものを使用されるのが良いかも知れません。図2を見ると、執拗な襲撃は巣箱の中へ侵入する寸前だったことをうかがわせます。 禍(ノ・ω・)ノオオオォォォ-
図4
10月2日は籠城中、6日後の10月8日には籠城を止めて、ご覧のとおりです。外勤採餌活動も始まりました。
図5
扉を開けると、ご覧の通りのハチのカーテン、内側はスカスカです。まさかこれで沢山いるように見せて、侵入したオオスズメバチを騙すつもりではないでしょうね。(*^。^*)
❸C群
図6
(1)結果:◎目視確認、被害はありません。
(2)オオスズメバチ捕獲数 ≒40匹 (内訳 ネズミ捕りシートのべ8日≒30匹+捕虫網≒10匹)
(3)経過及び攻守の動向:重箱6段のうち5段下まで群れが充実 こぶし3つ分の盛り上げ巣を除去
時々巣箱周辺と門前に、1,2匹のオオスズメバチが確認されますが、集団来襲には移っていません。数週間前に、風か動物のせいで巣門の扉が大きく開いていました。開いたまま1日以上は経過したようです。巣箱内への侵入や、熱殺されたスズメバチは確認できていません。危ない所でした。Σ(゚Д゚) 多くのニホンミツバチが門前と門前の壁に貼りついていたことから、この侵入を防ぐために、アブドメンシェイキングという腹部を震わせる威嚇行動で、追い払っていたのではないかと推測しています。10月11日に一段採蜜しました。中量級の重さです。
■限りなく反省に近いまとめです。
サバンナで肉食獣が草食獣を狩るように、弱い群れを好んで集団で襲うようです。一説では、オオスズメバチの働きバチ数は、最盛期でも100~500匹と言われています。この飼育場に限っての、集団来襲を受けたコロニー2つでは、50~150程度捕獲し無力化したところで、集団来襲は小康状態頭打ちとなりました。飼育場のB群では、往復するオオスズメバチの動線が左右2つに分かれ、門前で争うスズメバチもいました。このことから、2つの群れからの同時来襲も推測されます。B群の写真のように巣門の周囲を徘徊するスズメバチの数が増えた時は、特に注意が必要です。巣箱に穴をあけて侵入を試みている途上かもしれません。
集団攻撃を受けた際は、「即時対応、短期集中防除」を挑むつもりで、図3のようにネズミ捕りシートは2連貼り、人は半日程度飼育場に張り付くマンパワー肉弾戦、「ハリハリ作戦」がよいかも?ただし、捕獲中に https://38qa.net/blog/308128 のように反撃もされます。m(__)m 今年は私たちの狭い地域に限っては、全体的にはオオスズメバチ、コガタスズメバチを見かけることが多くはありませんでした。その地域の全体の傾向はどうであれ、部分的には、飼育場周辺と、そのポイントごとに被害のバラツキと、オオスズメバチの分布に偏りがあると思っています。ここにも、養蜂の局所性に拠る難しさが「在る」ように思っています。(>_<)